都会育ちの動物たちが巻き起こす騒動を描くドリームワークス・アニメーション「マダガスカル」シリーズ最新作が8月1日より公開。ライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリアが、今度はヨーロッパを舞台にまたもや大騒動!!今回、シリーズ3作ともアレックスの声を担当した玉木宏さんにお話を伺いました。
―マダガスカル1・2・3とアフレコをやられたわけですが、アフレコをやろうと思った時のお気持ちは?
以前、実写の洋画吹替をやったことがあり、アニメになればまた違ったニュアンスなのかと思っていて。機会があれば、やってみたいと思っていたところに、マダガスカルのお話をいただいたので、嬉しく思ってやらせていただきました。英語の台詞は短い単語でギュッと詰まっているけど、日本語だとどうしても長くなってしまい、特に実写吹替だと口の動きに合わせるのは難しいんです。だから、割と早口になってしまうんです。特にアレックスは台詞の分量が結構あり、その辺で大変でしたね。またベン・スティラーさんの声色に合わせるというか、豊かな声の表情に合わせるのはすごく難しいと思いながら、演じました。
―初めてマダガスカルをやることになった時は、3回続くとは思ってなかったと思うんですが、3作目までアレックスを演じられたことについて。
シュレックもそうですが、実は3まではいくだろうとなんとなく心の準備はしていたんです(笑)。ただ、6年という歳月の間があったので、感覚が元に戻ってしまって、それを取り戻すのが毎回大変で、そのために観返してみたりしました。
―玉木さんから見たアレックスというキャラクターについて。また今回、3作目を演じられたことで気づいたアレックスの違った一面はありますか?
ライオンということもあるので、百獣の王というみんなのリーダー的存在だと思います。1・2に関してはみんなのリーダーになりたいという願望の方が強く、勢い任せの部分もあったけど、3作目に関しては、そこに落ち着きがみえて、本当のリーダーらしい存在になったと感じました。そこが一つの見どころでもあると思います。
―アレックスと共通の部分や共感できる部分はありますか?
僕はそんなにリーダー的存在ではないと思ってますし、アレックスはすごくお調子者だけど、僕はお調子者でもない気がするので、似ているところは少ないですかね(笑)。
―では、登場するキャラクターの中で自分に近いキャラクターはありますか?また、動物に例えると何ですか?
うーん。どうでしょう、意外といないかもしれないですね。もし、自分を動物に例えるとそうですね。アルパカですかね(笑)。アルパカに似ているって、よく言われるんですよ。割と骨格的に草食系の顔で。性格的には肉食系だと思うんですけど(笑)。あとラマとか、似たような系統、ラクダとか(笑)。どこかでアルパカの写真が飾ってあって、みんながそれを見て「そっくりだ、そっくりだ」と。そういうキャラクターが出てきたらピッタリだと思います。
―お気に入りの台詞はありますか?
僕はどんな台詞を言っている時よりも「ガオー」って言っている時が一番ライオンらしいので、そこが意外と好きなんです。動物園にいるときに「ガオー」ってやっていて、アレックスもそれを楽しんでやっていたと思いますね。
―「マダガスカル3」の中で気に入っている場面は?
サーカス団と一緒になるところがあり、そこで出会ったヒョウのジアとか、トラのビターリ、アシカのステファノに信頼されている感が最後に出ているのが気に入っていますね。テンションが高いけど、割と落ち着いて的確な指示をしているアレックスっていうのは、頼りがいがあり、成長したなと思って演じました。
―今回登場したキャラクターの中でも、デュボア警部は強烈なキャラクターだったと思いますが印象を教えてください。
先日、フランス人の友だちと会って話した時、たまたま、話題の中で警察官の話になって、「フランスの警察は恐い。交通整備をしかめっ面でしている」と言っていて、すごくその言葉がデュボア警部とリンクして、ヨーロッパはそういうものなんだと。
アフレコする前にそれを聞いていればよかったんですが、アフレコした後に納得したっていう感じですね。お国柄が結構出ている役なのだと感じました。
―劇中では歌も披露されていましたが。
あれはね(ため息)。ものすごくテンポも揺れているし、ピッチもものすごくバラバラでしたね(笑)。その崩れたものに合わせるっていうのは、僕もそうとう苦労しましたが、他の人はどうだったのか気になって「慎吾さんはどうでした?」「高島さんはどうでした?」と監督に聞くと、「皆さん、だいぶ時間かかりました」って言われて、安心しました。
―早口が多かったということですが、NGはありましたか?
あれがNGにあたるのかは分からないんですけど、例えば台本に書いてあることを読み始める時に、最初のスピードを何となく考えて、早口で言い始めると、それに気をとられて台詞がだいぶ早く終わってしまうんです。だから一か八かなんですけど、ピッタリなスピードで入っていかないと、はみ出てしまったり、短くなったりしてしまいます。なので、だいたいテストを2回ぐらいやって、「これくらいのスピードだな」と、頭の中で把握しながら、録っていく感じです。
―では、本番も含めるとトータル3回ぐらいですか?
3回でいければ、かなりいい方だと思いますね。本番1回ではなかなか。多くて、20・30回やった部分もあると思います。収録期間は3日間。1・2の時も3日間でしたね。特にアレックスは、台詞の分量が多くて、朝10時から夕方6時、7時まで結構キッチリ。ただ、前作2の時は今よりも体重が20kg少なかったので、時間が経つと声が潰れていたんですけど、今回は「身体が大きくなった分、声が安定しているね」と、スタッフの方に言っていただきました。
―劇中ではマーティとの掛け合いも楽しみの一つですが、アフレコ中の共演者とのエピソードがあれば教えてくだい。
僕らは、結果1人ずつアフレコしているので、実はご一緒することはなかったんです。もう少し、一緒にからみたかったですね。アフレコは僕より先に、慎吾さんの方が声入れしていて、それを聞きながらできたので、やりやすかったですね。1・2に関しては、僕が一番最初だったので、誰の声もない状態で難しかったです。
―アフレコを経験されたことで、俳優業に活かせることやどういった点で力がついたと思いますか?
短い尺の中でいかにその台詞を立てて言うかということが毎回すごく難しいと思っています。少しでもベン・スティラーさんに近づこうと。日本人だと、これだけ表情豊かにやるとオーバーアクションな気がするんですけど、オーバーアクションぎみなことを体感することによって、ひとつのキャラクターでこれだけ声を変えても、一緒のキャラクターでいられるんだとか、それはもしかしたら自分が芝居をする時にも活かせるかもしれないと。声だけだからこそ、いろんなことをしっかり、ちゃんと伝えなければならない、それプラス実写は身体がついてきたらすごいものになるんじゃないかと思って演じてますね。
―もしも、4作目があるとしたら舞台はどこがいいですか?
アジアを舞台にやってくれたら、面白いんじゃないかな。日本だったら、今、話題のスカイツリーとかいいですね。登ってみて、ゴジラのように「ガオー」とか(笑)。
―3D上映となっている本作。3Dの楽しさや魅力はなんですか?
今回のようなサーカスを舞台にした作品だからこそ、臨場感を伝えられるのが3Dだと思うので、ぜひ2Dではなく、劇場の3Dで観ていただきたいですね。