ナッセナビTOP » 社長インタビュー
来年創業120年を迎えるひよ子本舗吉野堂。その創業家に嫁ぎ、今では経営責任者として活躍する石坂淳子さん。母親の感性を生かした季(とき)ひよ子シリーズをはじめとした新商品群への想いなどに山本華世さんが迫ります。
いえいえ、そのようなつもりは全くありませんで、「ごく普通に家庭を守る主婦として」という気持ちで結婚しました。会社にカオを出そうなどと思ったことはありませんでした。仕事を少しずつ始めたのが、子供に手がかからなくなった40代の後半からです。
本社の庭園に設けた児童遊戯施設「ひよ子ランド」の企画・運営を手伝い始めたのがきっかけです。私も子育て真っ最中でしたので、「子供たちが楽しめるものってなんだろう?」っていうことに興味がわいてきて、自分なりの想いやアイディアを盛り込んでみました。ひよ子ランドに遊びに来るお子さんたちが楽しそうにしていて、自分が母親として家庭でやってきた体験が役にたつんだって、うれしい気持ちになりました。
いろんな時代の中で、「ひよ子ブランドをどう皆さんに見ていただいているのか?」という企業テーマがありました。そんな時、私の夫(現会長)が社長時代に、「女性の感覚で新しいひよ子を作り出していこう」「新しい会社に変えていったらどうだろう」と提案がありました。私が女性としての感性で、もっともっとひよ子にかかわっていくことによって「新しいひよ子の世界を拓(ひら)いていける」と思ってくれたのかもしれませんね。そこから、本格的にいろんな仕事をするようになりました。もちろん、私自身が社長になるなんてまったく想像もしていなかった頃です(笑)
やっぱり「桜ひよ子」ですね。私にとっては、想いをしっかり込めたお菓子です。和菓子にはそれぞれの季節への想いなどを、素材や味わいで仕上げたものが揃っています。そういった和菓子のよさをひよ子にも生かせないかと考えました。実は、ひよ子は、現在のフォルムがいちばん美味しく、ベストの状態のお菓子なんです。だったら、「新しい味をつくり出していこう」と思いました。
石坂家の出自は、福岡県飯塚市の八木山です。そこに咲く桜が「吉野桜」。私どもの曽祖父にあたる直吉は、明治30年に飯塚市に開業した菓子舗を吉野堂としました。故郷への想いを込めたものでしょう。名菓ひよ子は直吉の子である茂が大正元年に考案したものです。100年記念菓としての桜ひよ子には、私なりに曽祖父と祖父への思いが込められています。
その思いが伝わったのか、おかげさまで大ヒット商品になりました。それから、茶ひよ子、栗ひよ子、苺ひよ子と日本の四季をひよ子に込めることで、女性の皆さんを中心にご好評を頂いています。来年は創業120年を迎えます。それに向けて、『起源成新』という言葉を掲げています。源を想い起こして新しき事を成す、という意味を込めています。今はそれに向かって社員全員で進んでいます。ぜひ、ご期待下さい。
人生の中で20代30代は、女性として、魅力的にがんばれる良い時代だと思います。今ある現状をいつも前向きにとらえて過ごしてほしいですね。そのことが生かされて、次につながる40代50代をいい形で迎えられるのではないでしょうか。女性ならではの年齢が重なってきた辛さだとかいろいろあったとしても、その時代をそれぞれに有意義に過ごすということがとても大切なはずです。だから、今、この季(とき)を前向きに楽しく大切にして頂きたいと思います。
40代後半まで、専業主婦だった社長。その時に、主婦の時間を楽しみ大切に生きたからこそ、それが今の社長業に活かされとっちゃね~。週に1回の商品開発会議は、山のように試作のお菓子が登場するとか。次の新商品、社長楽しみにしてます♪(華世)
山本華世が
創業家の嫁から経営のトップになった社長ならではの一言「前向きに」
福岡市南区向野1丁目16番13号
http://www.hiyoko.co.jp/
創業/明治30年(吉野堂)
設立/昭和34年8月1日(株式会社 ひよ子)
事業内容/菓子の製造販売・その他