今月のワクドキ InterviewVol.3

高良健悟×石田ゆり子

高良健悟×石田ゆり子

ナッセ 太郎(なっせ たろう) 1980年1月21日、宮崎県生まれ。19歳よりダンスを始め、23歳の頃上京。07年1月「二代目 J Soul Brothers」のメンバーに抜擢され、09年3月には「EXILE」に加入。現在はEXILEと並行して「EXILE THE SECOND」としても活動中。パフォーマー以外の活動も勢力的に行い、映画・ドラマ・舞台などの俳優業に限らず、番組MC、雑誌連載、『THE NINE WORLDS』プロジェクトプロデューサーと多岐に渡って活躍中。

―最初から役に入り込むには、難しい役だと思いますが、オファーを受けた際の率直な印象を教えてください。また、どのように役に入っていかれましたか?

高良僕は脚本も原作も読んで、最初に思ったのはどう演じるかというよりも、どういうふうに静人がこの映画の中で存在したらいいんだろうということに悩みました。静人がやっている行為というのは、人に褒められたくやっているわけではないです。そこにある命に向き合っているけれど、すごく半径が狭いと思うんです。僕がお客さんに向かって静人を演じると、静人という人物がすごいブレる気がして、じゃ、どういう風に演じたらいいんだろうと、読んだ時にすごく思いました。でも、台本の後半に静人のお母さんが、静人について「貴方の目にはどう映りましたか」と言うのです。僕はそれを信じて演じました。だから正直、この役は客観で無く、ほとんど主観で、自分が思う静人を、自分の中から演じただけなので、それが正しいか、正しくなかったかは分からないです。

石田私はこの原作を読んだ時に、とても原作に感銘を受けて自分で立候補したんです。もちろん、それが叶って夢のようだったんですけど、あまりの役の難しさにとても悩んで、この奈義倖世さんの人生を想像しても想像しても、想像しきれない、この悲しさと辛さをどうやって演じたらいいのだろうって、とても考えました。でも結局、出た答えは考え過ぎないということ。この撮影期間、自分の人生をこの人に捧げようという気持ちで撮影をしていたような気がします。

―完成した作品を観た時の率直な感想をお聞かせください。

高良この映画は受け取り方が自由な映画だと思います。家庭環境や、家族構成の違いもそうですし、今日観るのと、明日観るのでも違うでしょうし。なんていうか、本当に受け取り方が自由な映画なので。押しつけていない映画だと僕は思っています。やっぱり、死生観というのを押しつけるのは映画の中でしたくなかったです。

石田私は試写を2回観たんです。通常1回観て終わるんですけど、今回1回目を観た時に、自分のことばかりが気になって、全体が見えなかったんです。何かものすごく見逃していると思って、もう1回観ました。そしたら、2回目は涙が止まらなくなって。この映画は本当に観る人によって感想が違って、年齢によっても、その人の境遇によっても、その時の気持ちによっても、本当に様々で、賛否両論あると思います。でも本来映画ってそういうものだし、観やすい映画ではないかもしれないけど、おなかの中に眠っている何かをかき混ぜるかのような激しさも持っていると思います。そんな映画に参加できたことを本当に幸せだと思いますし、だから観た方は正直に忌憚のない意見を教えて欲しいですね。それはいい感想じゃなくても、全然分からなかったと言われてもいいと思います。

―高良さん演じる静人が続けている”悼む“という行為について、どのように思われましたか?

高良思い出し、その人を思うことで、その人はその人の中に生き返るんだと思います。主観、客観っていう話がありましたが、主観的になりすぎると生きている人が会っていないとその人はいないことにしまう、客観的になると会っていなくてもその人がいることを感じられるということだと思います。悼むという行為をすることは、亡くなったものに対して、思い出すことだから、その人が生きていたということを覚えておくことなのかなと思います。またその人をその人の中で、生き返らせる行為で、ふっと思い出した瞬間にその人は生き返るんです。でも静人のようにいろんな命に対して出来ることは凄いと思います。静人のように出来なくても、身近なところに対してはやっていきたいという考え方になりました。

―今回石田さんが演じられた奈義倖世の夫・朔也はとても複雑な役柄でしたが、朔也役を演じられた井浦新さんとは、演じられる前に打ち合わせなどはしたんですか?

石田あまりお話はしなかったですね。話せば話すほど、嘘っぽくなるっていうか、打ち合わせみたいなことをしてしまうと、気持ちが飛んでしまう。だから、井浦さんとの場面では倖世とだけ、お話をしていなかったと思います。

―今回の撮影は2人での撮影が多かったと思いますが、今回共演をされてみて、石田さんから見られた高良健吾という俳優さんの魅力を教えてください。

石田2014年を振り返って、いいこと悪いことを考えた時に、すごく幸せだったなって思ったことが高良君と出会えたことですね(笑)。彼はまだ20代で、私と比べたらそうとう若いんですけど、なんか本当にキラキラしているんです。その空気を一緒に吸って、撮影が出来たことは本当に幸せだったなって思います(笑)。役柄は明るい役ではないし、言葉も少ないし、笑うこともほとんどないけど、私はとっても幸せでした。とても素晴らしい俳優さんだと思います。

―今年は阪神・淡路大震災から20年。そして東日本大震災から4年目となる年。そして戦後 年という年でもありますが、そんな年に本作『悼む人』に出演することについて。

高良静人の凄い所っていうのはどんな命に対しても差別をしないということだと思います。それを自分の身内だけでなく、多くの他人にもできるのが静人です。しかもその人が”誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されていたか“という愛の部分で覚えておくこと。それは本当に一つ一つの命を線引きしていたら、出来ない行為だと思います。いろいろな震災などで多くの命が亡くなりました。僕たちは静人のようにはできないので、そういう出来事があったということを、ずっと残していくことが大切だと思います。静人であればどんなに時間がかかっても一つ一つの命を覚えていくんだと思います。でも、僕はこの映画の中で新しい命が生まれ、母親が亡くなった時に静人の旅がどういう旅になるかっていうことに興味があります。悼む形はきっと変わるだろうし、変わるべきだと思いますね。

―映画化の前に舞台化も行うほどに、本作への思い入れの強い堤監督からのアドバイスは?

高良静人の行為は、批判されることかもしれないと僕は思っています。傷つく人もいれば、救われる人もいるかもしれない。また普通に煙たがる人もいると思います。けれども、僕は人間性も含めて静人がやっていることを否定されたくなかったんです。だからそうするにはどうやって演じたらいいだろうと、堤監督とよく話しました。最後までぶれないこと、それとポーズにならないこと。やりすぎると静人の行為は一気に、クサくなるんです。それだけはならないように、気をつけていました。

石田いろんなことを撮影前に監督と話したんですけど、「とにかく石田ゆり子じゃない、見たこともない石田ゆり子を見せたい」っておっしゃって、一体それがどういうことなのか、具体的に私には分かっていなくて。ただ、私は奈義倖世さんって人を辛く悲しいけど、自分が無い人にはしたくなかったんです。彼女は心のどこかですごく自分に対して怒っているんじゃないかなって考え、そうであって欲しいって思ったんです。彼女自身が全部自分で選んできたことだから、そういうことを監督と結構話し合いましたね。

―最後に高良さんに、今年の抱負と地元・九州のファンに向けてのメッセージをお願いします。

高良今年は『悼む人』、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」、映画『きみはいい子』の中で、全部違う自分が見せられたらいいなと思っています。どうしても自分と向き合わないといけない仕事だと思うので、嫌な自分もたくさん見つかる。それさえも愛せたらいいなと思います。九州にいた時は転校ばかりしていたので、一つの場所に住むことで言えば、東京は住んで 年なので一番長いのですけれど、九州はいいなって思いますね。よく通えないかなと考えますね。

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