今月のワクドキ InterviewVol.8

広末涼子&滝藤賢一

広末涼子&滝藤賢一

広末涼子(ひろすえ りょうこ)
94年にCMコンテストでグランプリを獲得し、デビュー。97年には『20世紀ノスタルジア』で映画デビューを果たし、同作で第21回日本アカデミー賞をはじめ新人賞を受賞。99年には『秘密』、『鉄道員』の二作で第23回日本アカデミー賞優秀主演女優賞と優秀助演女優賞をW受賞し、以降、様々な作品で数々の映画賞を受賞する実力派女優。近年の作品は『鍵泥棒のメソッド』(12)、『柘榴坂の仇討』(14)、『想いのこし』(14)。連続ドラマ『ナオミとカナコ』(フジテレビ系列 1月木曜夜10時〜)では主演を務める。
滝藤賢一(たきとう けんいち)映画『BULLETBALLET バレットバレエ』(00)の出演を機に俳優を目指し、舞台を中心に活動。08年の映画『クライマーズ・ハイ』で注目を浴び、その後映画やテレビドラマの出演が相次ぐ。13年にはドラマ『半沢直樹』(TBS)に出演し、主人公の同期銀行員役が話題に。同作で第68回日本放送映画藝術大賞優秀助演男優賞を受賞。個性派俳優として欠かせない存在となる。『残穢―住んではいけない部屋―』(16)、『64-ロクヨン-前編/後編』(16)、『テラフォーマーズ』(16)などが控えている。

―初めて原作を読んだ際、どのような感想をもたれましたか?

滝藤:僕は脚本を読んでから、原作を読んだのですが、脚本はとてもポップに描かれていて、笑いあり、涙ありという感じがしました。その後、原作を読んだ時は、「やっぱりそうだよな」と思うようなことも書かれていて、考えさせられる場面も多かったですね。“演じたい”と思わせてくれる、とても素敵な本だと思います。

広末:私は偶然にもドキュメンタリーの映像を拝見したことがあったので、お話をいただいた時は二つ返事でお受けしました。はなちゃんがお台所に立っている姿に、すごく説得力を感じて、不思議に思うくらい胸がいっぱいになったのを覚えています。どうしても泣ける映画と思われてしまいがちですが、ただの泣かせる感動作ではないので、本当に笑ってもらいたいですし、世代問わずお子さんにも観ていただきたいですね。

―福岡・博多が舞台ということで劇中は博多弁。さらに千恵さんが長崎の大村出身ということで、大村弁も話されていましたが、いかがでしたか?

広末:とても大変でした。九州の言葉自体、今回のお仕事で初めて使ったのですが、博多弁と大村弁の違いが分からないくらい初心者でしたので、先ずは方言指導の先生の音のままを丸暗記するところから始めました。未だに博多弁と大村弁の違いは分かっていません。でも、ご覧になった福岡の方が、「ちゃんと変化が出ていた」とおっしゃってくださったので、ホッとしています。

―広末さん、滝藤さん、そしてはなちゃんを演じたえみなちゃんが生み出した家族。実際に3人で作り出した家族はどうでしたか?

滝藤:僕とえみなは自由にやらせてもらったというか、やりたい放題でした(笑)。受ける広末さんは大変だったと思います。でも、広末さんがどんと構えてくださっていたおかげで、とても素敵な家族になったと思います。

広末:そんな2人を見ていて、「だから女は強くなるんだな」と(笑)。でもそういう愛すべき2人がいるから、「自分は泣かないぞ」と明るく見せたり、強くなれたりするんだなと思いました。

―広末さんはご自身も母親ですが、同じ母親という役を演じる時に、気をつけたことはありますか?

広末:若い時、ある監督さんに「女優さんは、役を追体験したり、その人の人生を生きることに間違いはないけど、自分の経験をそのまま反映させる仕事ではないから、君の思った通りに、演じればいい」と言われたことがありました。今でも心に残っている言葉です。だから自分が母親だからと言って、母親役が上手くできるとは限りませんし、反対に母親でないからといって母親役ができないわけではないと思うので、いつも自分と役を照らし合わせることはありません。
今回の役は、不思議と自然に千恵さんの気持ちで現場にいることができたので、キャラクターを作らないといけないという感覚がありませんでした。千恵さんと感覚的に似ている部分が多かったのだと思います。

―滝藤さんは、衣装合わせの時点から方言など完璧だったそうですが、作品に関しても思い入れが強かったからですか?それとも普段から準備をされるタイプなんですか?

滝藤:この作品に関しては、普段よりも時間をかけました。1ヶ月は準備期間が欲しいということと、他の仕事と重ねないで欲しいということをお願いしました。僕の心構えとして、不安を持ったまま臨みたくなかったんです。それと、自分がそれだけ力を注いでいるというアピールもあるかなぁ(笑)。

―共演されてみて、お互いの印象を教えてください。

滝藤:皆さんご存知の通り、美しくて、愛らしい方です。そして現場に立てば、今まで培ってきた経験と、滲み出るオーラがある。それを直接現場でヒシヒシと感じられるわけです。楽屋に帰れば、椅子の上で体育座りで話していて…。本当にナチュラルな少女のような方だな、と。だから撮影が終わってしまったことがとても寂しいです(笑)。

広末:では、またぜひお仕事を(笑)。
私は、滝藤さんはこれまで厳しい役をたくさん演じてこられた方なので、今回のような役のイメージがありませんでした。現場でも役に引っ張られたり、感情移入することなく、客観的にお芝居をする方だとお聞きしていたので、クールな方なのかなと思っていたのですが、実際にはすぐ泣かれていて(笑)。お芝居なのか、ご本人の資質なのか分からないくらい感情が溢れていらっしゃいましたね。コミカルな部分もシリアスな部分も演じられる役者さんだという力量を感じながらも、その愛情深さに包み込まれるような安心感もあったので、私も自然に役に入り込むことができ、すごく安心して共演させていただきました。

滝藤:この作品くらいですよ、こんなに泣いたのは。普段はなかなか泣けなくて、本当に大変なんです。でもこの作品に関しては、感情を押さえる方が大変でした。でもそれは僕が普段と違ったというよりも、広末さんのお芝居に泣かされたんですよ。監督には「泣くな」と言われて、大変でしたね。

―最後に、広末さんは先日行われた第35回ハワイ国際映画祭にて、日本人女優として初のキャリア功労賞、おめでとうございます。映画祭に行かれていかがでしたか。

広末:この映画を観ていただいた海外の方の笑いや涙を、実際に劇場で一緒に体感できたことがすごく感動的でした。国境を越えて、この映画を観ていただき、言葉が違っても、国が違っても、文化が違っても、家族や、食、生きるという命に向き合うテーマは万国共通で、感情が伝わったというのが、大きな喜びでした。同時に、改めて千恵さんへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

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