今月のワクドキInterview Vol.12-2

中谷美紀

「猟銃」は、私自身の人生を
本当に変えてくれたぐらいの大きな作品です。

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中谷美紀(なかたに みき)
1976年、東京都出身。93年に女優デビューし、以後、ドラマ、映画、CMなどで活躍する。2006年『嫌われ松子の一生』で第30回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。11年、初の舞台『猟銃』で第46回紀伊國屋演劇賞個人賞、第19回読売演劇賞優秀女優賞、13年『ロスト・イン・ヨンカーズ』で第21回読売演劇賞最優秀女優賞受賞。4月より主演ドラマ『私結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系金曜22時)が放送開始。

同性異性問わず、その凛とした佇まいに惹きつけられる中谷美紀さん。この度、2011年に初演し大絶賛された舞台『猟銃』の再演が決定。その見どころや魅力を語っていただきました。

―一人三役を演じられる注目の舞台、改めて意気込みをお聞かせください。

自分の年齢とともに心のひだも増えたのか、読めば読むほど物語が深く味わえるようになってきて、今このタイミングで再演できることをうれしく思っています。前回は、まず人前で演じるということに対し必死で、また台詞を覚えることにも必死で、毎日が緊張の連続でしたし、自分の体力と精神力の戦いでゆとりが全くありませんでした。今回再び臨ませて頂くからには、一人一人のキャラクターと言葉にもっと大切に向き合いたいと思っています。すべての言葉に対し、真剣に向きあい、咀嚼して、丁寧にお客様にお伝えしたいと思っています。

―妻、愛人、愛人の娘という三人の女性をどのようにして演じ分けているのですか。

演出のフランソワさんとディスカッションを重ねて、それぞれの役柄の心情を追究しました。それから「こういう感情を抱えている人の肉体はこうなるはずだ」という方法論で、先に身体を作ることで役の感情に近づいていくようにしました。例えば、薔子は背中に冷たさを感じているはずだと。だったらどのように歩くか。みどりなら二日酔いの気怠い気持ちで、そんな日はどのような歩き方になるだろうとか。ただ歩くということをひたすら稽古でやってみる事もしました。

―印象的なセリフや心に残っている言葉を教えてください。

「あなたは愛することを望みますか。それとも愛されることを望みますか」という、おそらく、もっともみなさまの印象に残るであろう台詞があります。究極の選択だと思いますが、その問いの答えを、お客様にも劇場にてじっくり考えて頂きたいなと思います。私自身は、本来だったら、愛する人間でありたいと思いますけれども、そのためにはまずは自分が満たされないとならないなと思っているので、愛される方を選びたいと思います。

―演出家のフランソワ・ジラール氏についてお聞かせください。

演出のフランソワさんは、私の新たな世界の扉を開いてくださった、大切な方です。再演にあたりフランソワさんは、より感情的な面でいろいろ試みをしてくださっています。今、裸電球1燈だけの暗がりの中で稽古をしていまして。自意識とか羞恥心とかいったものをはぎ取って、素の状態で演じられるような環境を作ってくださっています。

―では最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

ちょっと無謀ともいえる賭けを初演に続き、今回もさせて頂きます。すべての女性に、三人のキャラクターの誰かしらには共感して頂けるのではないかと思いますし、男性のお客様にも是非、女性の恐ろしさを味わって頂きたいです(笑)。

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舞台『猟銃』

●5月27日(金)~29日(日)
 北九州芸術劇場中劇場にて上演

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撮影:阿部章仁

ひとりの男の13年間にわたる不倫の恋を、妻、愛人、愛人の娘の三通の手紙によって浮き彫りにした文豪井上靖の恋愛小説『猟銃』を完全舞台化。年齢も境遇も異なる三人の女のラブストーリーを、中谷美紀が一人三役の体当たりの演技で表現し、2011年初演時大絶賛を受けた話題作が待望の再演となる。

◆原作/井上靖 ◆演出/フランソワ・ジラール ◆出演/中谷美紀、ロドリーグ・プロトー
[公演日程]5月27日(金)19:00開演、28日(土)・29日(日)13:00開演
一般7,500円、24歳以下ユース3,500円
※全席指定・未就学児入場不可、劇場窓口にて高校生チケット1,500円も取扱い

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